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ワーホリ、離島、自転車、沢登り、雪山登山…旅大好き人間の提供する旅ブログ

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沢登り

真夏の山のなか、生命にあふれている涼しい沢のなかで旅をしよう!
こちらのカテゴリーでは、沢登りという登山を紹介します。

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| 沢登り | 09:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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沢登りの歴史

沢登り。
それは、秘密の遊び。

古来から日本人は山と深く関わりながら生活してきた。
しかし、今と違って道のついていなかった頃、先人たちはどのように山に登ったのだろう?

その答えの1つが、“沢登り”だ。

道のないヤブ山でも沢を登っていけばいつかは頂点に達すことができる。
そして、ライフラインである、“水”“食料”“燃料”のある沢でなら、長期の山旅が可能だ。

驚くべきことに、日本人は現代的な登攀道具のなかった時代にも
さまざまな峡谷を登っていたことが古文書などからわかっている。
(注:「黒部奥山廻り」や「ゼンマイ道」、「マタギ」「冠松次郎の記録」など)

そんな沢登りは“日本独自の登山”とも言われており、
欧米などでは逆に「キャニオニング」といって沢を下るスポーツもある。

とにかく、沢登りは日本の登山とは非常に馴染み深いものでありながら、
登山ブームの現代では反対に雪山登山と並んで“最も危険な登山”とも考えられている。

しかしながら道のなき道を全く自分の力で登っていく沢登りには
たくさんの魅力が詰まっているのだ。

| 沢登りとは | 10:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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沢登りの魅力

沢登りの魅力はなんといっても

  • 道なき道を登っていくこと

  • 自然と一体になった登山ができること

この2点に尽きるだろう。

道のない道を登って行くことは登山者に最高の好奇心を与えてくれるし、
自然と一体になった登山は登山者に真の自然美を見せつけてくれるだろう。

そして、この沢登りを最高に楽しむには
“サバイバルスタイル”で行うのが一番の方法かもしれない。

  • 沢でイワナを釣り

  • 沢の水で喉を潤し

  • 沢の山菜を摘み

  • キノコを摘み

  • 沢の流木で焚き火を起こし

  • 満点の星空の下

  • 焚き火で作ったおいしい現地調達のご馳走を食べ

  • 仲間たちと沢の水で割った酒を飲みながら一時を過ごす

こんなに素晴らしいアウトドアライフが他にあるだろうか?
おそらく回りには人っ子一人いない。
あるのは焚き火の光とうっすらを焚き火に映える仲間の笑顔だけだ。

もちろん、険しい山行を求める人にも沢は最高の満足を与えてくれる。

  • 激流に身一つで立ち向かい

  • ザイルを使って高い滝に果敢に取り付き

  • 時には絶壁のような場所を登って滝を越え

  • そして時には誰も通ったことのない峡谷部を越えていく

山があれば山の数以上に沢があることを考えると
ある意味ロッククライミングよりも未知のルートがある環境と言えるのかもしれない。

そして何より沢ではザイルワークや泳ぎ、捲き、渡渉など総合的な登山技術が要求される。

とにかく、
自然と一体になった登山をしたい者にも、
よりハードな登山を求める者にも答えられる寛容さをもった沢というフィールドが
いかに奥深いものかが分かってもらえただろうか。

とはいえ、
沢登りは生命の危険を伴う野外活動であるということには変わりありません。
この記事はより多くの人々に沢登りに関心を持ってもらうために書かれたものですが、
未経験者の安易な沢登り入門を推奨するものではありません。

沢登りに興味を持った方はぜひ、
近所の山岳会に顔を出して見てください。
そして、そこで経験の豊富な先輩から直に手ほどきを受けてください。

また、これから高校や大学に進学する方で興味のある方はぜひ、
「探検部」や「山岳部」「ワンダーフォーゲル部」に顔を出してみましょう。
きっとあなたのキャンパスライフは独自性のある思い出でいっぱいになるはずです。

| 沢登りとは | 10:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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笛吹川(前編)

笛吹川東沢

土日を利用して、山梨県の笛吹川に行ってきた。
誰もが認める渓谷美を誇る沢が、この川の上流部にある。

土曜日昼下がり、一般の登山客がきれいに整備された道を歩く中、
いやに大きな荷物を背負ったぼくたちは途中で道をはずれ、
森の中へと入って行った。
道を外れ踏み跡の先。東沢という沢に降り立つことができる。

一般の登山客が向かうのはこの沢の対となる、西沢である。
東沢には滅多に人が来ない。
青い水や一枚岩、そして白い河原はぼくたちだけのものになる。

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| ちょっとした沢登り | 21:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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笛吹川(後編)

笛吹川・ヌク沢

と、いうことで、 
日曜日は「ヌク沢(温沢)」という沢に行ってきた。
上流部に3段260mの大滝がある沢だ。
知っている人は知っているけど知らない人は知らない。

「沢登り」という登山を知らない人にはあまり興味がないかもしれないが、
この沢に260mの大滝を登るために沢山の人がやってくる、
といえば、多少は興味がわくのではないだろうか。

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| ちょっとした沢登り | 00:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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湯檜曽川高倉沢右俣

梅雨明けも近い、ということで、土日に上信越に行ってきた。
湯檜曽川の小さな支流・高倉沢右俣である。

土曜日は前回のようにお昼に着くように東京をゆっくり出発し、
その日は本流でゆったりと過ごす。

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| ちょっとした沢登り | 21:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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谷川岳ヒツゴー沢

 8月2日の昼に東京を出発して、3日の日帰りで谷川岳のヒツゴー沢に行ってきた。
深田百名山の一峰、谷川岳に突き上げる沢だ。

この沢は直登できる滝がいっぱいで、南面の沢ということもあいまって、とても明るいイメージ。
2つある20mの大滝もすっきり登れるのも好印象。

もちろん、小さい割にピリっとくる滝もある。
では、この沢の紹介をしていこう。

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| ちょっとした沢登り | 06:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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谷川連峰・茂倉谷 増水の記録

 昨日28日は各地で局所的な豪雨があり、大変なことになっていたようだ。
今日の朝刊によると、この豪雨は今日も引き続くらしい。

 今月18~20日にかけて行ってきた谷川連峰でも豪雨で散々な目に合ってきた。

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| ちょっとした沢登り | 09:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・サバイバル登山(1)

 わけありで計画通りには進まなかった今回の活動。
どんな風に終わったかは…今回の紀行文を読んでいればわかります。
南アルプスを沢をつないで縦断するために行ったサバイバル登山の紀行文を掲載していきます。

(1) 9月2日

 お昼に新宿駅にいつも通り集合する。集合場所は小田急線とJRの連絡口だ。
いつも通り、Y隊員は場所がわからず、たどり着くことができなかった。
しかたがないので中央線のホームで落合い、山梨の身延に向けて出発した。

去年の初冬合宿で向かった場所と同じだ。
憶えているような、憶えていないような風景が過ぎていき、
出発から4時間ほど経過してようやく身延駅に着いた。

そこからはバスによる移動が1時間。

いつも思うことだが、南アルプスへのアプローチにはやたらと時間がかかる。

 バスでうとうとしていると目的地である田代入口についた。空はもう薄暗くなり始めていた。
去年テントを張った場所を目指してしばらく林道を歩いていく。
さすがに記憶がまだ新しかったのでその場所はすぐに分かった。

今回はテントがないのでタープをそこらの木に適当に張り、沢のそばで焚き火をすることにした。
去年の焚き火の跡がまだ残っていた。
あれから間もなくして雪が焚き火の跡を埋め、そのまま保存されたのだろう。
自然の流れは思ったよりもゆるやかなようだ。

 初日の夜はまだ食料・燃料現地調達のサバイバル生活は始まっていないが、
沢ヤとしては活動前夜も焚き火でスタートしたかった。
だが、湿っている木にはなかなか火はつかない。

ベニヤ板で思いっ切り風を送ってみたり、
焚き付けにつけた火を大事に持ちこたえさせたり色々やってみたが一向にキャンプファイヤーは始まらない。
諦めて食事をはじめ、せめてそのゴミでも燃やしたいと思って火をつけたら意外と焚き火が出来上がってしまった。

活動前夜。昨年と同じ場所で火を眺める。
明日からいよいよ南アルプスを縦断する旅が始まるのだ。
諦めかけた時に燃え上がった炎は、なんだか幸先までも明るく照らすかのように勢いよく燃え上がっていった。


(つづく)

| 南アルプスサバイバル登山 | 09:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプスの沢はふかい




伝付峠へと向かう道。
振り返ると太陽の光がきらきらかがやく沢の流れが見えた。
緑にあふれる南アルプスの沢はふかいのだ。



*撮影データ:OLYMPUS E-3 + Zuiko Digital ED 12-60mm f2.8-4.0 SWD
*現像ソフト:UFRaw

| 南アルプスサバイバル登山 | 10:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・サバイバル登山(2)

(2) 9月3日

 活動初日の朝、空はくもっているが、これから峠を越えていくのを考えると、丁度いい天気かもしれない。
計画の段階では今夜のビバークポイントは伝付峠なのだが、
今日からサバイバル生活が始まることを考えると、
なんとしてでも沢に入っておきたかったので、多少スピードを上げて進んでいった。

 出発して1時間ほどでようやく山道に入り、沢の美しい風景を眺めながらの登山となった。
内河内川は今回は遡行しないが、登山道から見るそれはとても青く美しい。
奥秩父や上信越の沢の色は透き通ったエメラルドグリーンなのに、
ここの沢はなぜ青い色をしているのだろうか。
まあ、どちらにせよ綺麗なことは確かだ。

次第に空にも青色が広がってきて、期待のできる天気になってきた。
途中、靴を脱いで渡渉する場面もあり、整備されていない木道や、崩れかかった橋など、
いかにも南アルプスらしい雰囲気を感じる道であった。

 峠に向かって尾根を登り始めるまでは何度か沢を渡る。
すっきり晴れた空の下に涼しげに流れる沢水。そして深い森。
きらきらと輝く沢の水をコップにすくって一休みする時の心地よさはこんなところでしか味わえない。

尾根に入り始める前の沢で顔を洗い、清々しい気持ちになった後、いよいよ峠まで一気に登っていく。
左思ったよりも早く峠にたどり着いたので、湧水を味わい、
祠の前に置かれている汚れた自費出版らしい本をぱらぱらめくり、今日の釣りの餌にするバッタを追いかける。

30分ほど過ごした後、ぼくらは今度は一気に峠を下り始める。
コースタイムは1時間。荷物は20kgオーバー。それでも目標1時間を目指して一所懸命下っていく。
一瞬、木々の隙間から青々とした大井川の流れが見えた。
そして、ぴったり1時間後。ぼくらは急に人工物のなかに飛び出した。

 二軒小屋にたどり着いたのは13時45分。あまりにも時間に余裕があるではないか。

今日はこの後大井川に入渓してビバークポイントを探すだけだ。
釣りを楽しむ時間も十分にある。

二軒小屋からさらに続く林道を歩き、15時30分。心地よい河原を見つけ、ビバークポイントとした。
焚き木を集め、タープを張り、釣りを始める。一向に釣り針にアタリはない。
Y隊員は去年朝日連峰の小屋のおじさんに教えてもらったイワナのワナを一所懸命に作っている。
果たして釣果はあるだろうか。

 N隊員とY隊員が下流でポイントを探している間、
ぼくは上流部の向かい側にあるトロ場を目指して水と格闘をくり返していた。
想像を絶する水量と水深。なかなか渡渉できない。

というか、渡渉をしようとする度に命の危険を感じる。

うーん。これは仕方ない。

N隊員を手招きしてスクラムを組んでみる。
それでも流されそうになってしまう。

残念。

諦め、山菜摘みでも始めることにした。
この日の晩ご飯はフキとウワバミソウのみそ汁と、ヨモギご飯となった。
酒はOBに頂いた日本酒を早速飲むことにするが、あっという間になくなってしまい、焼酎を飲み始める。
これは後輩にもらった寸志だ。
芋焼酎でけっこうおいしかった。

 そんな風に焚き火を眺めながら酒を飲み、
ではツマミにテンプラでも作るか、という段になってぼくらは異常事態に気づいた。

羽アリが大発生していたのだ。

原因はよくわからないが、焚き火の下にちょうどアリさんの大帝国があったらしい。
コッフェル(ナベのこと)やメンツ(お椀のこと)、コップに次々にアリが飛び込んでは勝手に死んでいく。
これはかなわない。と思い、今夜のテンプラはお預け。
急いで明日のご飯を炊き、おにぎりを作った。

翌日、おにぎりには何匹かの羽アリが混入していた。
魚のトラップにも、なにもひっかかっていなかった。


(つづく)

| 南アルプスサバイバル登山 | 18:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・大井川の林道は荒れている




ぼくらは大井川西俣の林道を歩いて行った。
キレイな場所もあれば、荒れている場所もある。
昔は車がこの川の脇を走り抜けたのかと思うと、不思議な感じになる道だ。


*撮影データ:OLYMPUS E-3 + Zuiko Digital ED 12-60mm f2.8-4.0 SWD
*現像ソフト:UFRaw

| 南アルプスサバイバル登山 | 22:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・サバイバル登山(3)

(3) 9月4日

 昨日ビバークした場所からさらに奥に続く登山道を進んでいく。
地形図には右岸、左岸ともに登山道が記されているが、どう見ても左岸には登山道が見つからない。
どちらかの道が荒廃しているという情報だけは持っていたので、左岸の道がなくなっているのだろう。
と思いながら進んで行った。

やがて、右岸についていた道は上り坂となり、ジグザグと斜面を縫うようになってくる。
結構登る。
おかしい。
地形図ではそろそろ川に沿って進んでいくようになっているのに…。
と、その時N隊員は異変に気がついた。
今登っている尾根は、マンノー沢ノ頭という山へ向かっている尾根である、と。

 なんということだろう。
地形図にその道は記されていないものの、明らかに地形を観察するとその山へ続いていることがわかる。
では、逆の左岸に道がついていたのだろうか。
もし、左岸に道があるのだとすると、
途中で対岸までぶら下がっているボロボロの橋を渡っていくということになる。

それもまた、おかしい。

しかし、それ以外には考えられなかった。
仕方なく今まで登ってきた道を引き返し、分かりづらい分岐から上の方に行き、
そのボロボロの橋の入り口まで進んで行った。
先に着いていたY隊員が首を横に振る。

 「ムリっす。」

 確かに、その橋は人が通れるようなような状況ではなかった。
最初の一歩めから橋の底が抜けるのはほぼ確定的だろう。
地上から10m以上の場所にぶらさがっているその橋は
細いワイヤーの上に腐りかけの木の板がかろうじて乗っているだけという状態になっていた。
とても恐ろしくて渡る気にはなれない。

では、どうやってこの先、この川を進んでいけばいいのだろうか。
むろん、ここから遡行を始めても構わないのだが、昨日スクラムを組んで渡渉した時のことを考えると、
できるだけ登山道を通って奥の方まで行きたいと思ってしまう。
まだまだ遡行開始には適さない場所なのだ。

 しばらく考え込んだが、よく考えると登山道ではないものの、
左岸にはしっかりと舗装された林道が通っている。
もしかして、ここを進めばいいのではないか? 
そう思い、結局ビバークポイントも通り過ぎて林道まで引き返し、そこから左岸の林道を歩いていくことにした。

林道は歩きよい。
途中で例のボロ橋の対岸地点を通ったが、いったい、あの橋の行き先はどうなっていたのか。
林道から観察する限り、絶壁につながっているようにしか思えなかった。

廃道。

なんとも切ないものだなあ。

 やがて地形図通りに発電所が現れ、その先に登山道への入り口があった。
登山道といっても、昔は車が通れた林道である。ここが荒廃している。
時折今でも車が通れるのではないかと思われるほどきれいな場所もあれば、
本当に林道があったのか、と思ってしまうほど荒れている場所も通っていく。

だがしかし、一番に林道の面影を残していたのはヤブの中に佇んでいたカーブミラーである。
いまでもそのカーブミラーは曇ることなく、対向車ならぬ対向者を写せるようになっていた。
このカーブミラーの存在が明確にこの場所に車道があったのだということを示していた。

 登山道に入ってしばらくした場所で支流が涼しげに落ちていたので
一本をとることにすると、やがて3人組の中年釣り師と出会った。
小西俣の方まで足を伸ばしてみる、との話だったが、
お互い釣りをする予定なので場所がかち合わないように相談し、
彼らは悪沢の付近までいってキャンプを張ることにする、と言ってくれた。

静かな沢が好きなぼくとしては他パーティーと同じビバークポイントになるのは
一番避けたいことだったので大いに助かった。
彼らは地形図すら持っていなかったので、ぼくらは彼らに目的地までの距離を、
彼らはぼくらにこの辺の釣果の情報をそれぞれ簡単に交換し、お互いの無事を祈り合って別れた。

 道は次第に沢に近づいていき、風景は人工的なものがかすかに感じられる場所や、
すでに原始へと還った場所に次々に移り変わっていく。

歩きよい道。ヤブの道。道なき道に、大崩壊地。

ぼくらの横にはこれから塩見岳へと続く大きな川がとうとうと流れている。
いかにも山奥へと旅をしている雰囲気が全身を覆っていく。
時折みせる迫力のある峰は塩見だろうか。いや、まだまだ見えないはず。しかし、名のある山には違いない。
そんなことを考えながら、原始へと還りつつある廃道をひたすら歩いて行った。

(つづく)

| 南アルプスサバイバル登山 | 13:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・サバイバル登山(4)

(4)

 やがて道を失い、沢へと道が沈む場所までくると
ぼくらは登山靴で歩くのを諦めて沢の装備をザックから取り出し、それを身につけた。
いよいよ遡行開始である。
もちろん、竿はいつでもすぐに出せる状況にしておく。
そして、入渓。

 大きな水を押し出しながら流れていく沢のなかを、
巨岩を伝ったり沢のわきを歩いたりしながら進んでいく。
と、すぐにまた道らしきものが現れてしまった。
まあ、歩きやすいところを歩くのが沢登りの醍醐味だよねー。ということであまり気にしない。

途中、イワナのひそんでいそうなポイントでしつこく糸をたらすが、反応はなし。
明らかに魚影のあった場所でもイワナは警戒をしてぼくらのワナにはひっかかってこなかった。
やはり、イワナ入手への道は険しいのだろうか…。

 それから先は納竿として予定のビバークポイントまで急ぎ、そこでひたすら釣りをすることにした。
なかなか釣れない…。
この沢にはイワナはいないのではないか…。

しかし、思いもかけない幸運は突如として訪れた。

釣りを始めてから2時間は経とうかという時にN隊員が「たまたま」イワナを釣り上げてしまったのだ。
彼は釣り竿を岩に置き、まったく諦めていたのだ。
なのに、納竿しようとして糸を引っ張ったら魚がくっついてきたのだという。
N隊員、人生初のイワナを釣る。
いや、まったくのラッキーのようだから、釣った、というのは適当な表現ではない気がするが。

そして、それからすぐにY隊員も同じポイントでイワナを釣り上げ、
そのウワサをきいたぼくもそのポイントで粘った。
すると、やはり、釣れたのだ。

ついに、ついにサバイバル登山3年めにして、
ついに1人1匹イワナが食べられるという快挙を成し遂げることができたのだ!
その後、このポイントはぼくらの中で「神ポイント」として活動中ずっと語り継がれるのであった。


 ビバークポントの近くには小さな流れがあり、その流れはとても冷たい流れであった。
焚き火を組んでいる場所からはすこし離れるが、
すぐ近くの本流よりずっと冷たいその流れは飲み物を冷やすのにうってつけだった。

本当ならば重いので初日に開けるのがセオリーの缶ビールをぼくはこの日に開けることに決めていた。
他の2人に気付かれないように一番水温が低い場所にビールを潜ませ、3匹のイワナと共に乾杯をした。
じっくりと焼かれていくイワナたち。
時々雨がぱらつき、下流を眺めると荒々しい雷光が何度も何度も光っていた。
この日にだけはゲリラ豪雨は勘弁してほしい、と真上の空を見上げると、
こちらには天の川が永遠の流れにきらめく星々を抱擁していた。

やがてコンガリと焼けたイワナの香りが漂い、夕食の時間になる。
サバイバル生活で十分な食料の採れた日は夕食の時間ほど贅沢な瞬間は他にない。
しかも深く深い山の中。
天に昇っていく焚き火の炎と、その先にある宇宙の空。
そして沢のささやき。

都会の蛍光灯の下で食べる料理ももちろんそれはそれでおいしいが、
今食べている粗末な料理に、どんな有能な料理人でも作れない味がするのは、この環境のおかげだろう。
やはり、沢の夜はついつい夜更かしをしてしまう。
満天の星空の下、焚き火を囲んでつまらない話をおもしろくする時間が何よりも愛おしい時間なのだ。


(つづく)

| 南アルプスサバイバル登山 | 23:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・9月4日



道なき道にあったカーブミラー。
道はなくなっても鏡は曇らず黙って仕事を続けている。





釣り上げたイワナたち。
遠赤外線でじっくりと焼きます。

| 南アルプスサバイバル登山 | 14:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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南アルプス・サバイバル登山(5)

(5) 9月5日

 空がすっきりと晴れすぎていたからだろうか。
地上の気温はぐんと下がり、ぼくらは真っ青な空の下、
震えながらシュラフから這い出て急いで焚き火を起こしなおした。

今回の旅は朝はゆっくりと過ごすことに決めていた。
だから、この日もぼくらはゆっくりとコーヒーをすすり、体が体温を取り戻したころに行動を開始した。
といっても、昨日の「神ポイント」で釣りをする、というのが最初の行動だが。

夕まずめ、朝まずめ、という言葉がある。
釣りの基本は魚の食事の時間に合わせて糸を垂らすということを示している言葉だと認識している。
イワナもいくら貪欲だと言われていようが腹の空いていない時間には
食事をする気にはなかなかならないだろう。
そこで、昨日の夕方に釣れたのだから、
朝にも釣れるだろうという目論見で同じポイントに糸を垂らしたのだった。

思い思いの仕掛けを準備して釣りをする三人組。
あまりの平和さに、ここで天候の急変や事故があった場合、いかに山奥であるのかを忘れてしまう朝だった。

 やがていつまで経ってもイワナが引っ掛からないので出発とした。
竿を出しながら各ポイントに糸を垂らしていけばおそらく釣れるだろう。
昨日の成功のおかげでぼくたちは妙な自信を得ていた。

 この日の朝の渓観はいかにも奥地の沢らしいものだった。
いままでの大きな川幅とはうってかわり可愛らしい、箱庭のような森のなかを進んでいるかのようだった。
そのぶん、午前の早いうちには谷まで光が届かず影が多く肌寒さを感じたが、
やがて太陽が頭上からその刺激的な光を照らし始めるようになると、
その箱庭は画竜点睛され、ひときわ美しく生き生きとした。
特にすでに秋めいている山に遅ればせて萌え出した緑色の草に透き通る陽光には、幼い可愛らしさを感じた。







 1人が1つのポイントで釣りをしている間にもう2人はさらに先のポイントに行き、
最後の1人も先に進んで釣りをしながら進むという方法をとっていると、
暖かい陽気と渓流釣りの楽しさが相まってなかなか進むことができなかったが、
この山行ではおそらくもっとも充実した一日だったと思う。



この日は積極的に竿を出しながら遡行した。
片手に長い竿を持っているとはっきり言って歩きづらい。


昼近くになってもイワナが釣れないのでやや自信を失いかけているとき、
竿を納めて後続のY隊員を振り返るとその手には良型のイワナが握られていた。
この男、クールに仕事をやってくれる。
さらにイワナの数はその後もう1匹増え、ぼくも1匹釣り上げることができた。
合計で3匹。時間も迫っている。
1匹も釣り上げられなかったN隊員には気の毒だが、ここから先はやや速度を上げて進んでいくことにした。



さすがに源流らしくなってきた。


 速度を増すとそれに合わせてか渓相はつぎつぎに変化を見せていった。
さっきまでの箱庭のような渓相を期待していたのがやがて険しいゴルジュ状の地形を見せはじめ、
しまいには7、8メートルほどの滝を捲き登るハメになってしまった。

予想をしていなかった難所。

とはいえ、ロープを出すような箇所ではないが。
そもそも当初はロープもハーネスも要らないんじゃないか、という考えで来ていたので、
簡単に対処できるとはいえ難所が出るとやっぱり驚きはある。
ちなみにこの沢の難所は最上流部、源頭までのツメを別にすればこの滝の部分だけであった。

 「ひょっとしてここが魚止めだろうか…」

 と心配したが、もうイワナは3人分用意してあったのであまり欲は出さないことにし、
自分のなかでは勝手に(この沢にしては)大きな滝を岸壁の上から眺めた時に、
この先にはイワナはいないと判断していた。
(その後、さらに上流部にまでイワナが生息していることが発覚したのだが)



現れてしまった大滝。
こんなのどうやってイワナは這い上がるんだろう。


 たいていの沢では難所を越えると渓観が大きく変化していくものである。
その変化は早い場合もあればゆったりとしたものである場合もあり、また明らさまに変化していく場合もある。
この沢の場合、渓観はあからさまに変化していった。
なぜなら、この滝を越えてしばらく遡行した先には荒野のような伏流地帯が待っていたからだ。

 とてもさっきまで美しい沢にいたとは思えないほどの荒地が広がっていた。
川幅はいっきに広がり、数100メートルも先まで一気に視線が届いてしまう。
なんて沢だ、と思うと同時に、
遡行者に遡行図を作る気を起こさせなかったあまりにも長大すぎるこの沢のスケールに参ってしまった。

そして感謝してしまった。
なぜなら、いつもは遡行図や豊富な記録によって
ある程度どんな沢なのかをわかった上で遡行を楽しんでいたからだ。

しかし、今はほとんど記録のない場所に地形図といままでの経験だけを頼りに沢を歩いている。
この先どうなるかは一向にわからない。
もしかしたらもう一度くらい、難所があるのかもしれない。
信じられないイーハトヴがあるかもしれない。
あまりにも変化の激しすぎる渓相はぼくにこれから先の楽しみを十分に与えてくれた。


(つづく)

| 南アルプスサバイバル登山 | 11:36 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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